初心者のための新NISA完全ガイド|始め方からおすすめ銘柄の選び方まで
監修:武田 健一(たけだ けんいち)
行動経済学×金融教育コンサルタント
「NISAってよく聞くけど、なんだか難しそう…」「投資って損をしそうで怖い…」と感じて、一歩を踏み出せずにいませんか?大丈夫です。この記事を読めば、そんなあなたの不安は解消されます。国が作ったお得な制度「新NISA」の基本から、具体的な始め方、そして初心者におすすめの銘柄の考え方まで、専門用語をできるだけ使わずに分かりやすく解説します。この記事を読み終える頃には、安心してNISAを始める準備が整っているはずです。
そもそも新NISAって何?3つのポイントでサクッと理解
新NISAの仕組みは、実はとてもシンプルです。まずは、これだけは押さえておきたい3つの重要ポイントを理解しましょう。
ポイント1:利益が非課税になる「国のお得な制度」
通常、株や投資信託で得た利益(儲け)には、約20%の税金がかかります。例えば10万円の利益が出ても、手元に残るのは約8万円になってしまうのです。
しかし、NISA口座の中で得た利益には、この税金が一切かかりません。10万円の利益が出たら、そのまま10万円をまるごと受け取れる。これがNISAの最大のメリットであり、国が「貯蓄から投資へ」と後押しするために作った、非常にお得な制度なのです。
ポイント2:生涯にわたって使える「一生モノの投資口座」
新NISAでは、生涯にわたって非課税で投資できる金額の上限(非課税保有限度額)が、合計で1,800万円と定められています。一度に使い切る必要はなく、自分のペースで少しずつ利用できます。
さらに便利なのが、NISA口座で保有している商品を売却した場合、その商品の元本部分(簿価)の非課税枠が翌年以降に復活し、再利用できることです。これにより、ライフステージの変化に合わせて柔軟に資産を調整しながら、生涯にわたって非課税の恩恵を受け続けることができます。
ポイント3:「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの使い方
新NISAには、性格の違う2つの投資枠が用意されており、両方を同時に使うことができます。
- つみたて投資枠(年間120万円まで): 長期的な資産形成に向いた、国が厳選した低コストの投資信託などを、毎月コツコツ積み立てるための枠です。初心者の方は、まずはこちらの枠をメインに考えるのがおすすめです。
- 成長投資枠(年間240万円まで): 投資信託だけでなく、個別企業の株式(個別株)など、より幅広い商品に投資できる枠です。少し投資に慣れてきて、特定の企業を応援したい場合などに活用できます。
【初心者向け】新NISAの始め方 4ステップ
「制度は分かったけど、具体的にどうすればいいの?」という方のために、口座開設から投資開始までの流れを4つのステップで解説します。思ったよりも簡単だと感じるはずですよ。
Step 1: 金融機関を選ぶ(ネット証券がおすすめな理由)
NISAを始めるには、まず金融機関で「NISA口座」を開設する必要があります。銀行や証券会社で開設できますが、初心者の方には断然、ネット証券をおすすめします。
理由は、手数料が圧倒的に安く、取り扱っている商品の種類も豊富だからです。特にこだわりがなければ、「SBI証券」や「楽天証券」といった大手ネット証券を選んでおけば間違いありません。
Step 2: 口座開設を申し込む(スマホで完結)
金融機関を決めたら、その公式サイトから口座開設を申し込みます。今はほとんどのネット証券で、スマートフォンだけで手続きが完結します。
必要なものは以下の通りです。
- マイナンバーカード(または通知カード+運転免許証など)
- スマートフォン(本人確認書類の撮影のため)
画面の指示に従って個人情報を入力し、本人確認書類をアップロードすれば、1〜2週間ほどで口座開設が完了します。
Step 3: 積み立てる商品と金額を設定する
口座が開設できたら、いよいよ投資の設定です。どの投資信託を、毎月いくら、いつ買うかを設定します。例えば、「毎月5日に、〇〇という投資信託を3万円分、自動で買い付ける」といった設定が可能です。一度設定してしまえば、あとは自動で買い付けを行ってくれます。
Step 4: あとは「ほったらかし」でOK
設定が完了したら、あなたがやるべきことは基本的にありません。日々の価格の変動に一喜一憂せず、あとは長期的な視点で「ほったらかし」にしておくことが、成功の秘訣です。親記事で解説した「認知バイアス」に負けず、感情的な売買をしないようにしましょう。
初心者は何を買えばいい?おすすめ銘柄の考え方
「始め方は分かったけど、一番大事な『何を買うか』が分からない…」これは誰もが悩むポイントです。ここでは、初心者の方が大きく失敗しにくい、王道の考え方をご紹介します。
結論:全世界株式か米国株式のインデックスファンドが王道
もしあなたが、どの商品を選べばいいか全く分からないのであれば、全世界の株式(オール・カントリー)または米国の代表的な株式(S&P500)に連動するインデックスファンドのどちらかを選ぶことを強くおすすめします。
なぜインデックスファンドが良いのか?
インデックスファンドとは、日経平均株価や米国のS&P500といった「株価指数(インデックス)」と同じような値動きを目指す投資信託のことです。これ一本で、世界中あるいは米国の何百、何千という企業に自動的に分散投資できるため、リスクを抑えながら、世界経済全体の成長の恩恵を受けることが期待できます。
具体的な銘柄名の例
例えば、以下のような銘柄は、多くの専門家が推奨する低コストで優良なインデックスファンドの代表例です。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー): これ一本で、日本を含む世界中の先進国・新興国の株式に投資できます。
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500): GAFAなど、米国の主要な約500社にまとめて投資できます。
まずはこれらのうちのどちらか一本に絞って、積立投資を始めてみるのが良いでしょう。
新NISAでよくある質問(FAQ)
- Q1. 損することはありますか?
- A1. はい、あります。NISAは投資なので、元本保証ではありません。購入した商品の価格が下がれば、元本割れするリスクはあります。しかし、長期的な積立・分散投資を続けることで、そのリスクを時間的に平準化させる効果が期待できます。
- Q2. いつでも引き出せますか?
- A2. はい、いつでも売却して現金化することができます。ただし、売却すると非課税枠が復活するのは翌年以降になる点には注意が必要です。iDeCo(個人型確定拠出年金)のように、原則60歳まで引き出せないといった制限はありません。
- Q3. iDeCoとの違いは?
- A3. 一番大きな違いは、iDeCoが「老後資金作り専門」の制度であるのに対し、NISAは「いつでも使える万能な非課税口座」である点です。iDeCoは引き出しに制限がある代わりに、掛金が全額所得控除になるなど、税制上のメリットがより大きくなっています。
まとめ:不安は解消されましたか?まずは口座開設から始めよう
新NISAの基本から、具体的な始め方、銘柄の考え方まで解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。「なんだか自分にもできそう」と感じていただけたら幸いです。
投資で最も難しいのは、実は「最初の一歩を踏み出すこと」です。この記事を読んだあなたの不安が少しでも軽くなり、未来のための行動を起こすきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。まずは最初の一歩として、ネット証券の口座開設を申し込むことから始めてみましょう。
【免責事項】
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
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