コーチング体験セッションで必ず聞くべき「逆質問」10選|相性を見極めるプロの視点
コーチングの導入を検討し、いよいよ体験セッション(サンプルセッション)の予約を入れたあなた。期待と同時に、「何を話せばいいのだろう」「自分に合うかどうか、どうやって判断すればいいのか」という不安も抱えているのではないでしょうか。
特に、高額な費用を投じるキャリアコーチングやエグゼクティブコーチングにおいて、体験セッションは単なる「お試し」ではありません。それは、あなたがコーチを「プロのパートナーとして雇用するかどうか」を決定するための、重要な採用面接です。
コーチングの成果の8割はコーチとの相性で決まると言われます。しかし、コーチのリードに身を任せているだけでは、その本質は見えてきません。あなたが主導権を握り、納得感のある選択をするために不可欠なのが、あなたからの「逆質問」です。
本記事では、元IT人事部長でありプロコーチの視点から、体験セッションで必ず投げかけるべき10の逆質問を厳選しました。これらを活用することで、コーチの専門性、倫理観、そして何より「あなたとの相性」を鮮明に浮き彫りにすることができます。
なぜ「逆質問」がコーチングの成否を分けるのか
コーチングは、コーチとクライアントの「対等なパートナーシップ」の上に成り立ちます。コーチが一方的に教えるティーチングとは異なり、双方向の信頼関係がなければ、深い内省や行動変容は望めません。
体験セッションで逆質問を行うことには、以下の3つの戦略的意義があります。
- コーチの「聴く力」以外の能力を測る: 質問への回答の仕方に、コーチの論理的思考力や誠実さが現れます。
- ITリーダーの文脈への理解度を確認する: 業界特有のスピード感や課題を、どの程度「肌感覚」で理解しているかを確認できます。
- 主導権を確保する: 質問をすることで、あなたが「自分の人生の責任者」として主体的にコーチを選んでいるという姿勢を明確にできます。
「なんとなく良さそう」という直感だけで選ぶのは、最もリスクが高い行為です。 以下の質問リストを武器に、プロの目線でコーチを評価してください。
コーチの「質」と「倫理」を問う5つの質問
まずは、コーチとしての基礎体力と、プロとしての誠実さを確認するための質問です。
1. 「コーチングにおいて、最も大切にしている倫理規定は何ですか?」
プロのコーチであれば、国際コーチング連盟(ICF)などが定める倫理規定を熟知しています。守秘義務はもちろん、クライアントの利益を最優先する姿勢があるかを確認します。
2. 「私の課題が、コーチングではなくカウンセリングやコンサルティングの領域だと判断した場合、どう対応しますか?」
自分の専門外のケースを適切に見極め、他を推奨できるのが「本物」のプロです。何でも「コーチングで解決できる」と豪語するコーチには注意が必要です。
3. 「コーチ自身は、現在誰からコーチングを受けていますか?」
「優れたコーチには、必ずコーチがついている」のが業界の常識です。自らも学び続け、内省を怠らない姿勢があるかを確認します。
4. 「これまでのクライアントで、成果が出なかったケースにはどのようなものがありましたか?」
成功体験だけでなく、失敗や困難なケースをどう分析し、学びとしているか。その誠実さと客観性を測ります。
5. 「セッション以外でのサポート(チャットやメール)の範囲と、その意図を教えてください。」
手厚いサポートが必ずしも良いとは限りません。クライアントの「自立」を促すための設計になっているかを確認します。
ITリーダーの「文脈」への理解を問う5つの質問
次に、あなたの置かれている特殊な環境や悩みを、コーチがどの程度解像度高く捉えられるかを確認します。
6. 「IT業界のリーダーが直面する『孤独』や『プレッシャー』について、どのような見解をお持ちですか?」
業界特有のスピード感や、技術とマネジメントの板挟みになる感覚を、知識としてではなく「共感」を伴って理解しているかを探ります。
7. 「私の『言語化できていないモヤモヤ』を、どのように扱ってくれますか?」
論理的な思考が得意なリーダーほど、感情の言語化に苦労します。そのプロセスをどうガイドしてくれるか、手法の適合性を確認します。
8. 「コーチング期間中、私のパフォーマンスが低下した際、どのような関わり方をしますか?」
常に前向きな時ばかりではありません。停滞期やスランプの際、どのように寄り添い、あるいは背中を押してくれるかを確認します。
9. 「私のような属性(32歳、リーダー職)のクライアントが、共通して陥りやすい『思考の癖』は何だと考えますか?」
同属性の支援実績が豊富であれば、鋭い洞察が返ってくるはずです。その視点があなたにとって「ハッとするもの」であるかを確認します。
10. 「最後の質問です。なぜ、あなたが私のコーチとして最適だと言えるのですか?」
コーチ自身の強みと、あなたへのコミットメントをストレートに問います。ここでの回答の「響き」が、相性を判断する最大の決め手となります。
FAQ:逆質問で嫌われませんか?
Q. 逆質問をたくさんすると、コーチに失礼ではないでしょうか?
A. 全く逆です。真剣に自分を選ぼうとしているクライアントの姿勢を、プロのコーチは歓迎します。むしろ、質問がないことを不安に感じるコーチの方が多いでしょう。
Q. 10個すべて聞く時間はありますか?
A. 体験セッションの時間は限られています。事前にこの記事を読み、自分が特に不安に感じている項目を3〜4つ選んでおくとスムーズです。
Q. コーチが答えに詰まったら、その人はダメなコーチですか?
A. 即答できることだけが優秀さではありません。「良い質問ですね、少し考えさせてください」と誠実に向き合う姿勢も、信頼に値します。避けるべきは、誤魔化したり、話を逸らしたりするコーチです。
まとめ:納得感を持って契約するための最終ステップ
体験セッションでの逆質問は、あなたがコーチを「テスト」する場であると同時に、あなた自身の「本気度」をコーチに示す場でもあります。
今回ご紹介した10の質問を通じて、コーチの回答内容だけでなく、その時の「声のトーン」「表情」「沈黙の質」を観察してください。論理的な正解以上に、あなたの直感が「この人なら信じられる」と告げているかどうかが重要です。
コーチングは、あなたの人生を加速させるための強力なエンジンです。最高のパートナーを選び抜き、新しいキャリアの扉を開いてください。
参考文献リスト

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