「現状の外側」を見つけるWant-to発掘ワークシート|脳の仕組みで本音を引き出す実践ガイド
「現状の外側にゴールを置かなければならない」
「心からやりたいこと(Want-to)に基づいた目標を設定すべきだ」
コーチングや自己啓発の本を読み、その理論に感銘を受けたあなたは、きっと新しい未来への期待に胸を膨らませてノートを開いたはずです。しかし、いざペンを握ると、どうでしょうか。
「年収をあと200万円上げる」「今のプロジェクトを成功させて昇進する」……。
書き出されるのは、今の生活の延長線上にある、いわば「予測可能な未来」ばかり。あるいは、白紙のノートを前にして、一歩も先に進めないままフリーズしてしまったかもしれません。
2026年2月5日現在、情報が溢れる中で「正解」を探しすぎてしまう真面目な人ほど、この「現状の外側」という壁に突き当たります。結論から申し上げましょう。あなたが書けないのは、あなたの想像力が足りないからではありません。あなたの脳が、極めて正常に機能している証拠なのです。
この記事では、元システムアーキテクトであり認知科学コーチである私が、脳の「現状維持機能」を逆手に取り、強制的に思考の枠を外す「3段階式・Want-to発掘ワークシート」を公開します。この記事を読み終える頃、あなたは自分を縛っていたスコトーマ(心理的盲点)を外し、未来に対する圧倒的なエネルギーを取り戻しているはずです。
なぜ「現状の外側」のゴールは書けないのか?脳が仕掛ける「現状維持」の罠
「やりたいことが見つからない」「現状の外側なんて想像もつかない」と悩むあなたに、まずお伝えしたいことがあります。それは、「脳にとって、現状の外側は『死』と同義である」という事実です。
私たちの脳には、ホメオスタシス(恒常性維持機能)という強力なシステムが備わっています。これは体温を一定に保つのと同じように、私たちの心理的な状態も「今のまま」に保とうとする機能です。あなたが「現状の外側」という未知の領域にゴールを置こうとすると、ホメオスタシスは「危険だ!元に戻れ!」と強烈なブレーキをかけます。このホメオスタシスによる強力な引き戻しこそが、あなたのペンが止まる正体です。
また、脳のフィルター機能であるRAS(側坐核を含む網様体賦活系)も関係しています。RASは「自分にとって重要だ」と判断した情報以外をすべて遮断します。あなたが「今の自分」の延長線上で考えている限り、現状の外側にあるチャンスやアイデアは、スコトーマ(心理的盲点)に隠れてしまい、物理的に見ることができません。
「よく受ける質問として、『もっとリラックスすれば見つかりますか?』と聞かれますが、答えはNOです。リラックスするだけでは、ホメオスタシスのコンフォートゾーン(快適な領域)の中に留まるだけ。必要なのは、脳をあえて『バグ』らせて、スコトーマを強制的にこじ開けるロジックなのです。」
脳をバグらせて本音を出す「3段階式・Want-to発掘ワークシート」の使い方
では、どうすればその強固な脳の守りを突破できるのでしょうか。私が推奨しているのは、あえて脳に「エラー」を起こさせる「3段階式・Want-to発掘ワークシート」です。
このワークの肝は、最初から「やりたいこと」を探さないことにあります。以下の3つのステップを順に踏むことで、RASのフィルターを無効化します。
ステップ1:否定(今の自分なら絶対に選ばないこと)
まず、「今の自分なら、逆立ちしても選ばない選択肢」を書き出します。例えば「明日会社を辞めて海外へ行く」「全財産を寄付する」など、ホメオスタシスが全力で拒絶するような極端な行動です。あえて「ありえないこと」を脳に突きつけることで、思考の枠を一度破壊します。
ステップ2:拡張(もし魔法が使えたら?)
次に、すべての物理的・経済的制約を無視します。「もし、失敗という概念が存在せず、無限の資金と時間があったら、あなたは何をしていますか?」という問いです。ここでは「社会貢献」や「名誉」といった、今のあなたを縛っている「世間体」すらも排除した、純粋な好奇心(Want-to)を抽出します。
ステップ3:統合(共通する感情的価値の抽出)
最後に、ステップ1と2で出てきた要素から、共通する「感情」を抜き出します。例えば「自由」「支配」「創造」「静寂」など。例えば、ステップ1で『全財産寄付』、ステップ2で『宇宙移住』が出たなら、共通するのは『地球の重力(既存のルール)からの解放』という感情かもしれません。そこから『既存の金融システムに依存しない新しい経済圏を作る』といったゴールが見えてきます。その感情を最大化させる、「達成方法が今の自分には全く見当もつかない遠い未来」を1つだけ言語化します。これが、あなたの「現状の外側のゴール」の種になります。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: ワーク中に「そんなの無理だ」「馬鹿げている」という心の声が聞こえたら、その項目こそが「正解」です。
なぜなら、その違和感こそがホメオスタシスが反応している証拠であり、スコトーマの縁(ふち)に触れているサインだからです。多くの人はこの違和感で筆を止めてしまいますが、そこを突き抜けた先にしか、現状の外側は存在しません。この知見が、あなたの成功の助けになれば幸いです。
バランスホイールでスコトーマを外す|仕事以外の7分野に隠れた「お宝」
仕事に真面目に取り組んできた人ほど陥りやすい罠があります。それは「仕事の分野だけで現状の外側を探そうとすること」です。
認知科学コーチングでは、バランスホイールという概念を重視します。人生を「仕事」だけでなく、「趣味」「家族」「健康」「知性」「社会貢献」「精神」「ファイナンス」の8つの分野に分け、それぞれに現状の外側のゴールを設定します。
なぜこれが必要なのでしょうか。それは、「仕事以外の分野でゴールが動くと、仕事に対するRASの働きも変わる」からです。例えば、趣味の世界で圧倒的な現状の外側のゴールを持つと、そこから得た視点が仕事におけるスコトーマを外し、思いもよらないイノベーションのヒントが見えるようになります。
バランスホイール各分野への「脳をバグらせる」問いかけリスト
| 分野 | 現状の内側の問い(NG) | 現状の外側の問い(OK) |
|---|---|---|
| 仕事 | どうすれば昇進できるか? | 業界の構造自体をどう書き換えるか? |
| 趣味 | 次の休みは何をしようか? | その道を極めて世界一になるには? |
| 社会貢献 | どこに寄付をしようか? | 100年後の地球から感謝される活動は? |
| 知性 | 何の資格を取ろうか? | 現代の哲学を根底から覆す知見とは? |
よくある質問:それは本当のWant-to?「偽のゴール」を見分ける3つの基準
ワークシートを埋めていく中で、「これは本当に自分がやりたいこと(Want-to)だろうか? それとも、やらねばならないこと(Have-to)だろうか?」と不安になるかもしれません。
特に、2026年の現代社会では「SNSでキラキラして見えるもの」や「親や上司が期待するもの」を自分の望みだと錯覚しがちです。以下の3つの基準で、あなたのゴールの「純度」をチェックしてください。
- 「誰にも言わなくていい」としても、それをやりたいか?
他人の承認がなくてもやりたいことだけが、本物のWant-toです。 - 「お金を払ってでも」それをやりたいか?
報酬が目的になっているものは、現状の内側のゴールである可能性が高いです。 - それを考えると、少し「怖い」と感じるか?
本物の現状の外側のゴールは、ホメオスタシスを揺さぶるため、ワクワクと同時に必ず「恐怖」や「居心地の悪さ」を伴います。
「ゴール設定において最も重要なのは、そのゴールが『正しいかどうか』ではなく、そのゴールによって『今のあなたのエフィカシー(自己能力の自己評価)が上がるかどうか』である。」
出典: TPI Japan – コーチングの原理 – 2026年参照
まとめ
「現状の外側」を見つけるワークシートを埋める作業は、あなたの脳のOSを書き換えるプロセスそのものです。
最初は白紙だったノートも、脳の仕組みを理解し、あえて「バグ」を起こさせる問いかけを自分に投げることで、必ず動き出します。一度に完璧なゴールを決める必要はありません。ゴールは、あなたの成長に合わせて何度でも更新していいのです。
大切なのは、今日、この瞬間に「今の自分」という枠の外側に、一本の杭を打つことです。
今すぐ実践:全5ページの『3段階式・Want-to発掘ワークシート(PDF)』をダウンロードする。記入例と、脳をバグらせる30の質問リスト付き
このワークシートを使い、あなたのRASを未来へと書き換えてください。明日、目が覚めたとき、あなたの世界には昨日まで見えていなかった「チャンス」という光が差し込んでいるはずです。
参考文献
- TPI Japan 公式サイト – ルー・タイス氏の正統なコーチング理論
- 苫米地式コーチング公式サイト – 認知科学に基づく内部表現書き換え
- Self-Determination Theory – 内発的動機付けに関する学術的権威(Deci & Ryan)


コメント