給料が上がらない将来への不安を解消！30代から後悔しないキャリア戦略

こんにちは。国家資格キャリアコンサルタントの田中 聡です。15年間で2,000人以上のキャリア相談に乗ってきた経験から、あなたの「給料が上がらない将来」への不安に、データと経験に基づいてお答えします。

30代を迎え、周りは昇進したり転職したり…。給与明細を見るたびに「このままでいいのか？」と焦りを感じていませんか？でも、勢いで転職して失敗するのは怖い。その気持ち、痛いほど分かります。

この記事は、無責任に転職を勧めるものではありません。結論から言うと、あなたに必要なのは「保証」ではなく、後悔しないための客観的な『判断の軸』です。この記事を読めば、その判断の軸の作り方が分かります。

読み終える頃には、漠然とした不安が「具体的な次の一手」に変わり、自信を持って自分のキャリアと向き合えるようになっているはずです。

まずは現実を知ろう。あなたの不安は「日本全体の問題」でもある

👉 このパートをまとめると！
日本の平均給与は20年以上停滞中。あなたの不安は、社会構造的な問題が背景にあることをまず理解しましょう。

「給料が上がらないのは、自分の頑張りが足りないからだ…」もしあなたがそう感じているなら、まずは少しだけ肩の力を抜いてください。あなたの不安は、決してあなた一人の問題ではないからです。

事実、国税庁の調査によれば、日本の平均給与は長期にわたって停滞しています。

1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与は458万円であり、前年から2.7%増加したものの、ピークであった平成9年（1997年）の467万円には及ばない状況が続いている。

出典: 令和4年分 民間給与実態統計調査 – 国税庁

さらに、産業別に見ると、あなたが身を置く「製造業」の平均給与が533万円であるのに対し、「情報通信業」は632万円と、100万円近い差が生まれています。

個人の努力だけではどうにもならない、社会や業界構造の変化という大きな波が存在するのです。この客観的な事実を知ることが、感情的な焦りから抜け出し、冷静に将来を考えるための第一歩となります。

給料が上がらない2つの原因。問題は「あなた」か「会社」か？

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給料が上がらない原因は自己要因と会社要因に大別できます。両方を見極めることで、取るべき対策が変わります。

社会全体の問題があるとはいえ、もちろん、個別の状況に目を向けることも重要です。給料が上がらない原因は、大きく「あなた自身に起因するもの」と「会社側に起因するもの」に分けられます。

どちらの要因が大きいかによって、あなたが今取るべき行動は全く変わってきます。以下のセルフ診断チャートを使って、ご自身の状況を客観的に診断してみましょう。

結論：「市場価値」こそが、後悔しないキャリアの唯一の判断軸

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転職か残留かの決断は「市場価値」を軸にすべき。自分の客観的な価値を知れば、感情に流されない戦略が立てられます。

原因を切り分けた結果、「会社や業界に問題がありそうだ」と感じたとしても、すぐに転職を決断するのは早計です。なぜなら、転職市場は非常にシビアな世界だからです。dodaの調査では、転職して年収が上がった人は55.6%いる一方で、約3割の人は年収が下がっています。

では、どうすれば後悔しない決断ができるのか。
その答えが、この記事の最も重要な結論である「市場価値」という判断軸を持つことです。

市場価値とは、簡単に言えば「あなたが他の会社から、いくらの給料で雇ってもらえるか」という客観的な評価です。今の会社の給与明細は、あくまで「今の会社の中での評価額」に過ぎません。

この市場価値という判断軸を持つことで、初めて「今の会社に留まるべきか」「転職すべきか」を感情論ではなく、戦略的に比較検討できるようになります。

自分の市場価値を可視化する、具体的な3ステップ

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①キャリアの棚卸し、②年収査定ツールの活用、③転職エージェントとの面談、この3段階で市場価値は明確になります。

では、どうすれば自分の市場価値を知ることができるのか。難しく考える必要はありません。以下の3つのステップを順番に実行することで、誰でも客観的な市場価値を可視化できます。

Step1: キャリアの棚卸しで「ポータブルスキル」を発見する

市場価値の源泉は、あなたがこれまでの経験で培ってきたスキルです。その第一歩として、キャリアの棚卸しを通じて、あなたの中に眠っている「ポータブルスキル」を発見しましょう。

ポータブルスキルとは、「持ち運び可能なスキル」、つまり、今の会社だけでなく、どんな業界・職種でも通用する汎用的な能力のことです。例えば、営業職のあなたなら、以下のようなスキルが考えられます。

• 課題発見能力: 顧客との対話から、本人も気づいていないニーズを引き出す力。
• 関係構築能力: 初対面の相手とでも信頼関係を築き、長期的な取引に繋げる力。
• 目標達成意欲: 高い目標に対しても、達成までのプロセスを逆算し、粘り強く実行する力。

課題発見能力や関係構築能力といったポータブルスキルこそが、あなたの市場価値を構成する中核的な要素なのです。まずは紙とペンを用意し、これまでの業務経験を振り返って、どんなスキルを身につけてきたか書き出してみましょう。

Step2: 年収査定ツールで「市場価値」を金額に変換する

キャリアの棚卸しで言語化したスキルが持つ市場価値を、具体的な金額として可視化するために役立つのが、dodaなどの大手転職サイトが提供している「年収査定サービス」です。

dodaなどが提供する年収査定サービスは、あなたの経歴やスキルを匿名で入力するだけで、膨大な転職データと照合し、あなたの市場価値を「〇〇〇万円〜〇〇〇万円」といった具体的な金額として可視化してくれます。この方法は、あなたの市場価値を知る上で、非常に客観的で手軽な手段です。

Step3: 転職エージェントとの面談で「客観的な評価」を得る

最後の仕上げとして、プロの視点からフィードバックをもらいましょう。転職エージェントは、あなたの市場価値を第三者の視点で評価し、それを最大限に活かせる求人を提案してくれるパートナーです。

年収査定ツールが「統計データに基づく評価」だとすれば、転職エージェントは「今の転職市場のリアルな温度感に基づく評価」を提供してくれます。複数のエージェントと面談し、「自分の経歴なら、どのような業界で、どのくらいの年収が狙えるか」という生の声を聞くことで、あなたの市場価値はより明確になります。

FAQ：給料と将来に関するよくある質問

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副業や現職での給与交渉は有効な選択肢ですが、まずは市場価値の把握が前提となることを解説します。

最後に、キャリア相談でよくいただく質問にお答えします。

Q. 転職せずに副業で稼ぐのはどうですか？

A. 収入源を増やすという意味で、副業は有効な選択肢の一つです。しかし、パーソルキャリアの調査によれば、副業をしている人の約半数が月1万円未満の収入に留まっており、時間と労力に見合ったリターンを得るのは簡単ではありません。もし将来のキャリアアップを本気で考えるなら、時給労働型の副業よりも、あなたの市場価値を直接高める「リスキリング（学び直し）」に自己投資する方が、長期的には大きなリターンを生む可能性があります。

Q. 今の会社で給与交渉をするのはアリですか？

A. もちろん有効な手段です。ただし、交渉を成功させるには「客観的な根拠」が不可欠です。まさに、これまで解説してきた「あなたの市場価値」がその根拠となります。「転職市場によれば、私のスキルと経験には〇〇万円の価値があるようです。現職でも同等の評価をいただくことは可能でしょうか？」といった形で交渉することで、単なる不満ではなく、建設的な話し合いができます。

Q. 異業種への転職はリスクが高いですか？

A. 未経験の分野への挑戦は、確かにリスクを伴います。しかし、ステップ1で発見した「ポータブルスキル」があれば、そのリスクを大幅に下げることが可能です。例えば、食品メーカーの営業で培った「関係構築能力」は、IT業界の法人営業でも高く評価されます。重要なのは、業界が変わっても通用する自分の強みを正しく認識し、それを効果的にアピールすることです。

まとめ：未来は「判断軸」を持つことから始まる

「給料が上がらない将来」への漠然とした不安。その正体は、「自分がどうすべきか分からない」という、判断の基準がない状態から生まれます。

この記事で一貫してお伝えしてきたのは、その不安を解消する鍵は、勢いで転職することではなく、客観的な「市場価値」という判断軸を持つことだという事実です。

1. 現実を知る: あなたの悩みは、社会構造的な問題も大きい。
2. 原因を切り分ける: 問題は「自分」か「会社」かを見極める。
3. 市場価値を知る: 3つのステップで、あなたの客観的な価値を可視化する。

あなたのキャリアは、あなた自身でデザインできるのです。まずは第一歩として、あなたという素晴らしい資産の価値を、あなた自身が知ることから始めてみませんか？

さあ、まずは机の上でできる「キャリアの棚卸し」から始めてみましょう。難しく考えず、これまでの仕事を振り返り、自分が「得意なこと」「人から褒められたこと」を書き出すだけでも、素晴らしいスタートです。

参考文献リスト

• 令和4年分 民間給与実態統計調査 – 国税庁
• 転職で年収アップするのはどんな人？ 2023年版 – doda
• 転職者実態調査（2022年） – 労働政策研究・研修機構