セルフ・コンパッションを高めるノート術|自分を愛し、自己肯定感を育む具体的な書き方
「失敗すると、いつまでも自分を責めてしまう」
「周りの人と比べて、自分はダメだと落ち込んでしまう」
「もっと頑張らなきゃと、自分を追い込んでしまう」
もしあなたが、自分自身に対して厳しすぎると感じているなら、それは「セルフ・コンパッション(自分への慈しみ)」が不足しているサインかもしれません。
セルフ・コンパッションとは、大切な友人に接するように、自分自身にも優しさと思いやりを持って接することです。このスキルを身につけることで、自己否定のループから抜け出し、ありのままの自分を受け入れられるようになります。
この記事では、公認心理師監修のもと、誰でも今日から始められる「セルフ・コンパッションを高める具体的なノート術」を紹介します。ペンとノートを用意して、自分自身と優しく向き合う時間を始めてみましょう。
なぜ「書くこと」が自分を癒やすのか?
頭の中でぐるぐるとネガティブなことを考えているだけでは、不安や自己否定は増幅するばかりです。しかし、それを「文字にして書き出す」ことには、高い心理的効果があります。
- 客観視できる(外在化): 自分の感情を紙の上に書き出すことで、自分と感情を切り離し、客観的に眺めることができます。「私はダメだ」ではなく、「私は今、ダメだと感じているんだな」と気づくことができます。
- 感情の浄化(カタルシス): 誰にも言えない辛い気持ちを吐き出すことで、心の重荷を下ろすことができます。
- 脳の鎮静化: 書くという行為は、感情を司る脳の部位(扁桃体)を鎮め、理性を司る部位(前頭葉)を活性化させることが分かっています。
【実践ワーク】セルフ・コンパッション・ノートの書き方
それでは、実際にノートを書いてみましょう。ここでは、代表的な3つのワークを紹介します。自分に合いそうなものから試してみてください。
ワーク1:コンパッション・レター(自分への慈しみの手紙)
自分が辛い状況にある時、もし親友が同じ状況だったら何と声をかけるかを想像し、それを自分自身に向けて書くワークです。
書き方のステップ
- 辛い状況を書き出す: 今、自分が何に悩み、どんな感情を抱いているかを具体的に書きます。(例:仕事でミスをして落ち込んでいる。恥ずかしい、情けない。)
- 親友を想像する: もし、あなたの大切な親友が同じミスをして落ち込んでいたら、あなたは何と言って励ましますか?どんな優しい言葉をかけますか?
- 自分に手紙を書く: その言葉を、そのまま自分自身に向けて書いてください。「〇〇ちゃん(自分の名前)、辛かったね。でも、誰にでもミスはあるよ。あなたは十分頑張っているよ」といった具合です。
ワーク2:スリー・グッド・シングス(3つの良いこと)
1日の終わりに、その日あった「良かったこと」を3つ書き出すワークです。自己肯定感を高める定番の方法ですが、セルフ・コンパッションの視点では、「当たり前のこと」に感謝することがポイントです。
- 朝、美味しいコーヒーが飲めた。
- 同僚と楽しく雑談できた。
- 空が綺麗だった。
どんなに小さなことでも構いません。「自分には良いことも起きている」「自分は恵まれている部分もある」と気づくことで、自分への否定的な見方を和らげることができます。
ワーク3:批判者との対話ログ
自分の中にいる「批判者(インナー・クリティック)」の声に気づき、反論するのではなく、優しくなだめるワークです。
書き方の例
批判者の声: 「また失敗したのか。お前は本当に無能だな」
コンパッションの声: 「厳しいことを言うね。でも、それは私にもっと成長してほしいからだよね。ありがとう。でも、今は失敗から学ぼうとしているところだから、もう少し優しく見守ってくれないかな?」
自分を責める声を「敵」とみなすのではなく、「心配してくれている存在」として受け止めつつ、主導権を自分に取り戻す感覚です。
ノートを続けるためのコツ
セルフ・コンパッション・ノートは、毎日書かなくても構いません。辛い時、心がざわついた時だけでも十分効果があります。
- お気に入りのノートとペンを使う: 書くこと自体が楽しくなるような道具を選びましょう。
- 誰にも見せない: 誰かに見せる前提だと、本音が書けなくなります。「自分だけの秘密の場所」にしてください。
- 書けない日があっても自分を責めない: 「今日は書けなかったな。まあ、そんな日もあるか」と、書けなかった自分さえも許してあげましょう。
まとめ:書くことは、自分を抱きしめること
ノートに自分の気持ちを書き、優しい言葉をかけることは、自分で自分を抱きしめるようなものです。最初は気恥ずかしいかもしれませんが、続けていくうちに、自分の中に「最強の味方」がいることに気づくはずです。
自分に優しくなれれば、他人にももっと優しくなれます。まずは今日、ノートの1ページ目に、自分への労いの言葉を書いてみませんか?


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