アサーティブ・コミュニケーションの具体的な会話フレーズ集【場面別・例文付き】
職場で「本当は断りたいのに引き受けてしまった」「もっとうまく伝えられれば…」と悩んだ経験はありませんか?自分の意見を押し殺したり、逆に感情的に伝えて後悔したりするのは、とても辛いことです。
この記事では、あなたと相手、双方を尊重しながら誠実に自己表現するための技術「アサーティブ・コミュニケーション」について、職場でよくある場面別に、具体的な会話フレーズを例文付きで解説します。
この記事を読めば、明日から使える具体的な「伝え方の型」が身につき、人間関係のストレスを大きく減らすことができるはずです。
そもそもアサーティブ・コミュニケーションとは?3つのタイプをおさらい
具体的なフレーズを見る前に、アサーティブ・コミュニケーションの基本を簡単におさらいしましょう。自己表現のスタイルは、大きく3つのタイプに分けられます。
- アグレッシブ(攻撃的): 自分の意見を主張するが、相手の気持ちを無視・軽視してしまう。「なんでやってないんだ!」
- ノンアサーティブ(非主張的): 相手を優先するあまり、自分の意見や気持ちを表現できない。「(無理だけど…)はい、やります…」
- アサーティブ(誠実で対等): 自分の気持ちや意見を正直に伝えつつ、相手のことも尊重する。「私は〇〇だと思います。なぜなら△△だからです。」
目指すのは、もちろん3つ目の「アサーティブ」なコミュニケーションです。これは生まれつきの性格ではなく、誰でも練習によって身につけられる「技術」なのです。
【場面別】明日から使える!アサーティブ会話フレーズ集
それでは、職場でよくある3つの場面を取り上げ、具体的な会話フレーズを見ていきましょう。「よくない例」と「アサーティブな例」を比較することで、ポイントがより明確に理解できます。
1. 上司や同僚に仕事を頼みたい時
相手の状況が見えず、なかなか言い出せない場面です。タイミングを逃して、結局自分で抱え込んでしまうケースも少なくありません。
よくない例(ノンアサーティブ):
「あの…お忙しいところすみません…もし、もしもお時間があればでいいんですけど…この件、少しだけ見ていただくことって…可能だったりしますでしょうか…?」
アサーティブな例:
「〇〇さん、今少しよろしいでしょうか。△△の件でご相談したいのですが、5分ほどお時間をいただけますか?実は、□□の部分で少し手こずっておりまして、お知恵をお借りできると大変助かります。」
【ポイント】
アサーティブな例では、「相談がある」という目的、「5分」という具体的な時間、そして「□□で手こずっている」という事実と「助かります」という自分の気持ち(Iメッセージ)を明確に伝えています。これにより、相手は何を求められているのかを正確に理解し、協力するかどうかを判断しやすくなります。
2. 難しい要求や依頼を断りたい時
「断ったら関係が悪くなるかも…」という不安から、無理な要求を飲んでしまいがちな、最もストレスの多い場面の一つです。
よくない例(アグレッシブ):
「無理です。こっちも手一杯なんで、自分でやってください。」
アサーティブな例:
「お声がけいただきありがとうございます。大変申し訳ないのですが、現在△△の案件を抱えており、ご依頼の期日までにお受けするのが難しい状況です。もし□□までお待ちいただけるのであれば、ぜひ協力させていただきたいのですが、いかがでしょうか?」
【ポイント】
ただ断るのではなく、まず感謝を伝えます(クッション言葉)。その上で、「できない」という事実と「△△の案件を抱えている」という理由を正直に伝えます。最後に「□□までなら可能」という代替案を提示することで、相手への配慮を示しつつ、自分の状況も守ることができます。
3. 相手のミスを指摘したり、改善をお願いしたりする時
相手を傷つけたくない、あるいは反発されたくないという思いから、非常に伝え方が難しい場面です。
よくない例(ノンアサーティブ):
「(本当は間違っているけど、言えない…)あ、はい…大丈夫です…」
アサーティブな例:
「〇〇さん、ありがとうございます。1点だけ確認させてください。このデータの△△の部分ですが、私の認識では□□となっているのですが、何か背景をご存知でしたら教えていただけますか?私の勘違いでしたら申し訳ありません。」
【ポイント】
相手の行動そのものではなく、「データ」という客観的な事実に焦点を当てます。「あなたのやり方は間違っている」と決めつけるのではなく、「私の認識と違うので教えてほしい」という質問の形にすることで、相手は防御的にならずに話を聞きやすくなります。「私の勘違いでしたら」と付け加えることで、さらに丁寧な印象を与えられます。
まとめ:アサーティブは「練習」でうまくなる
この記事では、職場で使えるアサーティブ・コミュニケーションの具体的なフレーズを3つの場面に分けてご紹介しました。
大切なのは、最初から完璧にやろうとしないことです。まずは「あ、今の伝え方はノンアサーティブだったかも」と気づくことからがスタートです。そして、次に似たような場面が来たら、この記事のフレーズを一つでも思い出して試してみてください。
アサーティブという「技術」は、練習すればするほど、あなたの強力な武器になります。ぜひ、自分と相手を大切にするコミュニケーションを、今日から始めてみてください。


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