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もう「負けた」と思わない!若手営業のためのWin-Win交渉術【具体例3選】

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もう「負けた」と思わない!若手営業のためのWin-Win交渉術【具体例3選】

こんにちは。キャリア戦略コンサルタントの高橋潤です。大手コンサルティングファームで多くの企業の戦略を支援してきた経験から、ビジネスの成果は「交渉」の質に大きく左右されると断言できます。特に若手の営業担当者から「お客様に強く言われると、つい値引きしてしまう」「自分の要求を伝えるのが苦手で、いつも相手に譲ってばかり…」といったご相談をよく受けます。

もしあなたが交渉後に「負けた…」と感じることが多いなら、それは交渉を「勝ち負けの戦い」だと捉える「欠乏マインド」に陥っているサインかもしれません。この記事では、自分と相手の双方にとって最善の結果を目指す「Win-Win」の交渉術について、データと理論に基づき、明日から使える具体的なステップと会話例を交えて構造的に解説します。

この記事を読み終える頃には、交渉に対する苦手意識が薄れ、自信を持ってお客様と対話し、お互いが満足できる成果を生み出すための具体的な武器が手に入っているはずです。

この記事を書いた人
  • kenji tanaka

    平凡な会社員から副業を経て個人事業主として独立。このブログでは、自らの経験を基に、あなたの「変わりたい」を一歩先で応援する情報を発信しています。


この記事の監修者
  • 高橋 潤(キャリア戦略コンサルタント)

    高橋 潤(たかはし じゅん)/ キャリア戦略コンサルタント、経営学修士(MBA)。専門領域は人的資本経営、キャリア開発論、組織行動学。大手コンサルティングファームで50社以上の人的資本戦略を支援した実績を持つ。ビジネス誌での連載や大学での講演も多数。著書に『エンゲージメント・クライシス』がある。読者の悩みに寄り添いつつも、感情論に流されず、データと理論に基づいた客観的で構造的な解決策を提示することを信条としている。

Win-Win交渉術の前に:なぜあなたの交渉は「負け」に終わるのか?

Win-Win交渉術の前に:なぜあなたの交渉は「負け」に終わるのか?

👉 このパートをまとめると!
交渉がうまくいかない根本原因は、成果のパイを奪い合う「ゼロサム思考」にあります。この思考から脱却することが、Win-Winへの第一歩です。

多くの営業担当者が交渉で苦しむ根本的な原因は、交渉を「限られたパイの奪い合い」だと無意識に考えてしまう「ゼロサム思考」にあります。これは、一方が得をすれば、もう一方は必ず損をするという考え方です。

例えば、「10万円の値引き」という交渉があったとします。

  • ゼロサム思考の場合:「お客様は10万円得をし、自社は10万円損をした(負けた)」と捉えます。
  • Win-Win思考の場合:「10万円の値引きで契約が成立し、長期的な取引関係が築けた。これは双方にとって未来の利益に繋がる価値ある投資だ」と捉えます。

このように、同じ事象でも捉え方が全く異なります。ゼロサム思考のままでは、相手を「敵」とみなし、防御的・攻撃的な姿勢になりがちです。Win-Win交渉術を実践するためには、まずこの「パイは奪い合うものではなく、協力して大きくするものだ」という「豊かさマインド」へと、思考の前提を切り替えることが不可欠なのです。

【具体例で学ぶ】明日から使えるWin-Win交渉術3つのステップ

【具体例で学ぶ】明日から使えるWin-Win交渉術3つのステップ

👉 このパートをまとめると!
「①準備」「②対話」「③創造」の3ステップで交渉を構造化することで、感情論ではない論理的なWin-Winの着地点を見つけ出せます。

Win-Winの交渉は、単なる精神論や偶然の産物ではありません。明確なステップに沿って準備し、対話を進めることで、誰でもその成功確率を高めることができます。ここでは、具体的な会話例を交えながら3つのステップを解説します。

Step1: 【準備】自分の「利益」と相手の「利益」を定義する

交渉の場に臨む前に、最も重要なのが準備です。多くの人は自分の「要求(ポジション)」、例えば「値引きは10%まで」ということしか考えません。しかし、Win-Winのためには、その要求の裏にあるお互いの「利益(インタレスト)」を深く考える必要があります。

【具体例:SaaSの導入交渉】

自分の立場(営業担当) 相手の立場(顧客)
要求(ポジション) 定価で契約してほしい 20%値引きしてほしい
利益(インタレスト) ・売上目標の達成
・成功事例を作りたい
・長期的な関係を築きたい
・予算内で導入したい
・導入失敗のリスクを避けたい
・社内を説得する材料がほしい

このように、表面的な「要求」の裏にある、お互いが本当に得たい「利益」を事前にリストアップしておくことが、次のステップの鍵となります。

Step2: 【対話】要求ではなく「利益」について質問し、理解する

交渉の場では、相手の「20%値引きしてほしい」という要求にいきなり反論するのではなく、その背景にある「利益」を探るための質問を投げかけます。

【会話例】

顧客:「素晴らしい製品ですね。ただ、予算的に厳しいので、20%ほどお値引きいただけませんか?」

あなた(NG例):「申し訳ございません。値引きは10%が限界でして…」

あなた(OK例):「ご予算の件、承知いたしました。差し支えなければ、今回の導入で特に重要視されている点や、ご懸念されている点について、もう少し詳しくお聞かせいただけますでしょうか?例えば、〇〇様が導入をご成功させる上で、価格以外にどのようなサポートがあればご安心いただけますか?」

OK例のように質問することで、相手は「予算」という要求だけでなく、「導入失敗のリスク」や「社内説得」といった、より本質的な「利益」について語り始めてくれます。ここでの目的は、相手を論破することではなく、共通の課題を解決するパートナーとしての信頼関係を築くことです。

Step3: 【創造】複数の選択肢を出し合い、パイを大きくする

お互いの「利益」がテーブルの上に出揃ったら、最後は創造のステップです。「値引きするか、しないか」という二者択一ではなく、お互いの利益を満たす新しい選択肢を考えます。

【会話例】

あなた:「なるほど、ご予算の制約と、導入後のサポート体制をご重視されているのですね。承知いたしました。では、いくつかご提案させてください。例えば、価格は定価のままですが、その代わり通常は有償の導入サポートと、3ヶ月間の専任コンサルタントを無償でお付けするのはいかがでしょうか? これであれば、ご予算の問題は解決できませんが、導入失敗のリスクを最小限に抑え、社内の皆様へのご説明材料としてもご活用いただけるかと存じます。」

この提案は、

  • 相手の利益:「導入失敗リスクの回避」「社内説得材料の確保」を満たす。
  • 自分の利益:「定価での契約(売上目標)」「成功事例の創出」「長期的関係の構築」を満たす。

このように、お金以外の価値を交換することで、限られていたパイ(値引き額)を「手厚いサポート」という新しい価値で大きくすることができます。これがWin-Win交渉術の真髄です。

まとめ:交渉は「戦い」ではなく「価値の共創」である

交渉というと、どうしても相手を打ち負かす「戦い」のイメージがつきまといます。しかし、真に優れたビジネスパーソンは、交渉を「相手と共に新しい価値を創造するプロセス」だと捉えています。

今回ご紹介した3つのステップは、そのための具体的な思考ツールです。ぜひ、次回の商談から、まずは「相手の利益は何だろう?」と考えてみることから始めてみてください。その小さな視点の変化が、あなたの営業としてのキャリアを大きく飛躍させる一歩となるはずです。

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