ITリーダーのための「詰問にならない」1on1質問集|部下の本音を引き出すコーチングの技術
「最近どう?」と聞いても「特にありません」と返される。あるいは、良かれと思ってアドバイスをしているのに、部下の表情がどんどん曇っていく……。IT現場のリーダーとして、1on1ミーティングの進め方に限界を感じてはいませんか?
特に論理的思考を重視するリーダーほど、無意識のうちに部下を論破したり、原因究明という名の「詰問」に追い込んだりしがちです。しかし、1on1の目的は管理ではなく、部下の「自律的な思考」を支援することにあります。
本記事では、コーチングの概念を実務に落とし込み、明日からの1on1でそのまま使える具体的な質問フレーズを厳選して紹介します。部下の本音を引き出し、チームの生産性を高めるための「問いかけの技術」をマスターしましょう。
なぜあなたの1on1は「詰問」になってしまうのか?
多くのITリーダーが陥る罠は、1on1を「進捗確認」や「問題解決」の場と勘違いしてしまうことです。トラブルの原因を追及する際、「なぜできなかったのか?」という問いを投げかけてはいませんか?
「なぜ(Why)」という問いは、過去の失敗に焦点を当てるため、部下は責められていると感じ、防御反応を示します。これが「詰問」の正体です。コーチング的な1on1では、過去の「なぜ」を未来の「どのように(How)」に変換することが求められます。
部下の自律性を引き出す「魔法の問いかけ」3つのカテゴリー
部下の思考を止めず、自発的な行動を促すためには、以下の3つのカテゴリーで質問を組み立てるのが効果的です。
1. 状況を客観視させる「事実への問い」
主観や感情を排除し、現在の状況を冷静に把握させるための質問です。
- 「今、プロジェクトの状況を10点満点で表すと何点くらいかな?」
- 「その点数をつけてくれた背景には、どんな事実がある?」
2. 理想と現状のギャップを埋める「未来への問い」
部下自身に「どうなりたいか」を描かせ、そのための手段を考えさせる質問です。
- 「理想的な状態を10点だとすると、あと何があれば点数が上がると思う?」
- 「もし何の制約もなかったら、まず何から手をつけたい?」
3. 行動を具体化する「コミットメントへの問い」
対話を具体的なアクションに結びつけるための質問です。
- 「次の1週間で、これだけは確実に進めると決めるなら何にする?」
- 「そのアクションを完遂するために、私に手伝えることはあるかな?」
シーン別・そのまま使える1on1質問フレーズ集
現場でよくあるシーンに合わせて、部下の心理的安全性を守りつつ本音を引き出すフレーズを整理しました。
| シーン | 詰問になりやすい例 | コーチング的な問いかけ |
|---|---|---|
| 進捗が遅れている時 | 「なんで遅れてるの?」 | 「予定通りに進める上で、今一番のボトルネックは何だと感じてる?」 |
| 部下が悩んでいる時 | 「何が不満なの?」 | 「今、一番モヤモヤしていることを言葉にするとしたら何かな?」 |
| 提案を求めている時 | 「いい案はないの?」 | 「君の視点から見て、まだ試していない可能性が1つあるとしたら何だと思う?」 |
1on1を「評価」ではなく「支援」の時間に変える
質問のテクニック以上に重要なのは、リーダーのスタンスです。1on1の時間は、部下が「上司に報告する時間」ではなく、「リーダーをリソースとして活用する時間」であると定義し直してください。
「私は君のパフォーマンスを最大化するためのサポーターである」という姿勢が伝われば、部下は自ずと本音を話し始めます。まずは、セッションの最後に「今日の話の中で、一番の気づきは何だった?」と問いかけることから始めてみてください。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 1on1で沈黙を恐れないでください。沈黙は部下が「考えている」証拠です。
なぜなら、ITリーダーは効率を求めるあまり、部下が答えを出す前に先回りしてアドバイスをしてしまいがちだからです。問いを投げた後は、心の中で5秒数えてみてください。その「待つ」姿勢こそが、部下の自律性を育む最大の支援になります。


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